シナプスの笑い Vol.19
法政大学大学院坂本光司教授による、障害者雇用についての講演演説を収録しました。障がい者雇用を行っている会社を紹介し、それらの会社が高い業績を維持していること、さまざまな人間ドラマが秘められていることを実例を挙げて語っていただきます。
座談会のテーマは「しなやかに生きる」。障がいを受け流す、細い枝のようなしなやかさを身につけるための生活の知恵を話し合います。
A5判(148×210ミリ)
128頁
定価 (本体762円+税)
978-4-904380-18-5 C0093
2013年2月1日発行
年間定期購読はこちらから
https://lagunajapan.official.ec/items/38597142
内 容
特集
講演会:人を幸せにする会社 法政大学大学院教授 坂本光司
平成24年11月30日、鹿児島県中小企業家同友会の主催で行われた「障がい者雇用フォーラム」での、坂本教授の講演を掲載。
6500社以上の会社を現場研究し、「企業経営の目的は人を幸せにする活動である」と言い切る坂本教授。実際に障がい者雇用を行っている会社を実例として挙げ、「障がい者雇用に尽力している会社は業績が高い」ことを分かりやすく語る。そこには、さまざまな人間ドラマ、人間の尊厳と高貴さ、感動が秘められていた。
通 信:福島便り 震災後の心のケア ~Aさんへのインタビューを交えて~
震災から2年。職と生活基盤を失った精神障がいを抱える男性の今を語る。困難を抱えつつ前向きに生きる姿をリポート。
座談会:しなやかに生きる - 日々の暮らしで気づいたこと
精神障がいを乗り越えるために必要な生活の知恵を、弊社で働く精神障がい体験者8名が語る。障がいを受け流す、細い枝のようなしなやかさを手に入れるために必要なこととは?
「Mind Matters」
オーストラリアの中学高校の、包括的学校精神保健プログラムに使われているテキストを翻訳して紹介。第6回は「友情、仲間とのつながりや所属感」を特集。ゲームを通じて友情やつながりを作るレッスンを紹介。
連載・投稿
漫画「サバイバーズ・ミッション」
「サバイバーズミッション」とは、「いじめや虐待をくぐり抜けて生き残った人々が、つらかった経験を乗り越え他者のために生かす使命」のこと。著者自身のいじめ体験を基に、母の視点から描いたフィクション、第2話。
「壁の向こう側」
統合失調症と診断された杏。杏の母、幸子は共に死のうと考えたが、杏の「死にたくない」の一言に彼女を支え、生きる決意をする。娘と母の思いが交錯する第2話。
「昆虫さん七変化」
「爆弾を取り除きたいのよ」と訴える姉は精神病と診断される。悩んだ少年はいかがわしい相談所を訪ね、〈クレイジー〉という人物に爆弾をくくり付けられ飛ばされてしまい、〈昆虫さん〉と出会う。 青空には、胃袋のあたりに陰鬱な渦を巻いている〈牛くん〉が浮かんでいた。渦に豹変した〈昆虫さん〉は少年を海に沈め、少年は姉と出会い、話しながら意識を失っていった―― 。 「頭がイカレてる」とは何だろう?を巡る、 空想的でありながらリアルな観念冒険小説の最終話!
漫画「風の歌を聴きながら」
第6話。昭和59年、三度目の精神科入院。歌人である主治医から短歌の奥深さを教えてもらい、歌を一生詠もうと決意する。
「歳を重ねて」
22年間を精神病院で過ごし、古希を迎えた著者。今を生きる読者に贈るあたたかいメッセージ。
「統合失調症体験事典」
「楽園」「理想」「ルシファー」など非日常の言葉を考察。
統合失調症の体験者がユーモアを交えて定義する用語の事典。
「精神と言う猫神」
精神の病を抱えたしゃべる猫の不思議な物語。
「ことわざかるた」
第3回。「短気は損気」「出る杭は打たれる」「時は金なり」などをウツの気持ちで表現。かるたからイメージされた素敵なイラスト付き。
「のんのんとマリマリ 秘密 」
五歳まで子どもには天使がいる―天使とのんのんと犬の冒険を描いたファンタジー。
「僕の体型の理由」
醜形恐怖症に悩み、体重が百三十キロになってしまった男性の告白。
「コワい」という考えからの脱出
Kくんが怖い。根拠のない恐怖感から苦しい入院生活をする著者。薬や周りの支えで回復していくさまを描く。
投稿作品解説
作品名:「壁の向こう側」
会社の人から「救いのない話だね」と言われましたが、とんでもない。最後にはちゃんと救いがあります。安心して読んで下さい。よろしくお願いします。
作品名:「サバイバーズ・ミッション」
前号はいじめを受けている本人の視点から描きましたが、今号は母親目線で描いています。
いじめを受けていると周りが全て敵に見え、自分はひとりきりなのだと思いがちになります。この漫画で「自分はひとりではない、守ってくれる人は必ず居る」と、少しでも読んでる方が希望を持っていただけたら幸いです。
目 次
第Ⅰ部 特集
講演会:人を幸せにしている会社 障がい者雇用フォーラムにて
通信:福島便り 震災後の心のケア ~Aさんへのインタビューを交えて~
座談会:しなやかに生きる -日々の暮らしで気づいたこと
翻訳:オーストラリアの包括的学校精神保健プログラム『Mind Matters』の紹介
第Ⅱ部 連載
漫画:サバイバーズ・ミッション 第二話(あみり)
小説:壁の向こう側 第二話(綾)
小説:昆虫さん七変化 最終回(熊谷ベッポ)
漫画:風の歌を聴きながら 第七話(東瀬戸サダエ・星礼菜)
随筆短歌:歳を重ねて(東瀬戸サダエ)
事典:統合失調症体験事典(竜人)
小説:精神という猫神 (竜人)
かるた:ことわざかるた 第三回(MARIA / あみり)
詩:ポスト(石橋勝)
第Ⅲ部 投稿
小説:のんのんとマリマリ(松はなこ)
小説:ヘッドフォンシェルター(小野蟷螂)
エッセイ:「自分」という証し(雨宮福一)
エッセイ:近所のおじさんとの対話(のせ)
エッセイ:僕の体型の理由(じゃじゃ丸)
エッセイ:「~ばかり」に気をつけて(俊之介)
入院生活便り:院内散歩をしてみて/我が家のみそ汁(山中啓之)
入院生活便り:短歌(てる)
体験記:心をやんで、思い出とフミエルの存在と四十五年の人生(原田聖王)
体験記:「コワい」という考えからの脱出(播梨麻男)
詩:おかしくならないように・感受性(ウナム)/人間の力を信じてごらん(カッコウ)
「光の果実」(夢暦正)/君と共に(笹井瞳)/わがふるさとの詩(Y・N)
好きな言葉(栗ちゃん)/「笑顔を みたいから」(卓斗)/好日(天草の空花)
叶う、砂の夏(雪時)
短歌:闘病短歌(上谷香保子)
投稿イラスト:(村田和文)(上谷香保子)(蒼空)