シナプスの笑い Vol.20

シナプスの笑い Vol.20

¥838

平成18年に第1号を刊行以来、今回で20号を迎えることができました。これを機に、表紙や構成をリニューアルいたしました。
新連載「これからの精神科病院」では、長期にわたって精神科病院に入院している方、入院を経験し地域で生活している方、また、精神科医の三者の視点から、希望を持ちながら生活していくためにできることを考えます。
精神障がい者を実際雇用している現場から、雇用主の思いを伝えていくシリーズもスタート。第一回は、東京世田谷区にある藍工房グループです。

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A5判(148×210ミリ)
128頁
定価 (本体762円+税)
ISBN 978-4-904380-26-0 C0093
2013年6月10日発行

年間定期購読はこちらから
https://lagunajapan.official.ec/items/38597142

内 容

連載・投稿

新連載 これからの精神科病院 -入院体験者、精神科医が語る未来の形
今回から始まるこのコーナーでは、長期にわたって精神科病院に入院している方、入院を経験し地域で生活している方、また、精神科医の三者の視点から、「私たちがわずかでも希望を持ちながら生活していけるように、今できることは何だろうか」を一緒に考えていく。
障がい者雇用の現場から 藍工房の歩みとこれから 
障がい者の法定雇用率は、2013年4月より0.2ポイント引き上げられ2%となった。
精神しょう害は外見には見えにくく対応が分からないため、雇用に踏み切れない企業が多い。このシリーズでは、精神障がい者を実際雇用している現場から、雇用主の思いを伝えていく。第一回は、東京世田谷区にある藍工房グループ。

福島便り『今日、仮設住宅から』 ~被災地で暮らす人々の「記憶とことば」~
東日本大震災から約2年3か月。地震、津波、原発問題という極限の状況の中で、精神医療保健福祉の復興に向けて立ち上がった人々がいた。
震災当時の様子から現在までの精神障がい者、被災者のこころの健康を支える取り組みを、福島で看護師・社会福祉士として働く廣田信幸氏の手記を通して特集する。

第7回「Mind Matters」の紹介
オーストラリアの中学高校の、包括的学校精神保健プログラムに使われているテキストを翻訳して紹介。今回は「関係を創ること」を特集。グループでのゲームを通じて所属感を感じたり、助け合うことや役割を持つことの大切さを学んだりする。

新連載 小説「白百合の君へ」
精神科病院に搬送された一人の女性が、失意の中で過去を回想する。屋久島の深い自然に囲まれて育ち、家族と過ごした時間。母への思慕と反発。中三の夏のある日、クラスメートと山へ冒険に行き、そこで不思議な体験をする。

「壁の向こう側」
第3話。入院した杏。頭痛の原因がてんかんと分かり快方にむかう。退院した杏は精神病に対し偏見の根強い田舎で、無職でも就職しているふりをしなければならなかった。杏は作家を目指し、出版社へ投稿する。

漫画「風の歌を聴きながら」
第7話。退院後の平成13年より、物忘れがひどく、同時に不安感に襲われだした。不調が続き翌平成14年に再び入院。その病院に入院中で俳句を詠まれるQさんの刺激をうけ、短歌をあらためて勉強する。それがきっかけで歌集を出すことに・・。

漫画「サバイバーズ・ミッション」
「サバイバーズミッション」とは、「いじめや虐待をくぐり抜けて生き残った人々が、つらかった経験を乗り越え他者のために生かす使命」のこと。著者自身のいじめ体験を基に、今回は友人の視点から描いたフィクション。第3話。

「統合失調症体験事典」
「忘れる」「笑い」「ん?」などの言葉を考察。
統合失調症の体験者がユーモアを交えて定義する用語の事典。 最終回。

「ことわざかるた」
「波瀾万丈」「へたの横好き」「良薬口に苦し」などをウツの気持ちで表現。かるたからイメージされた素敵なイラスト付き。最終回。

体験記「幻聴に苦しんで」
投稿者は40歳の男性。7年前にテレビの出演者が自分の悪口を言いだした。家で落ち着かずデイケアに行くが、そこでも職員やメンバーから悪口を言われる。どこにいても生きた心地がしなかった・・・。

体験記「球根」
「総勢数百人以上」による「死ね」という言葉に苦しめられる。あぁ、私は、生きてはいけないのか。自殺を図るが気が付いたときは精神科病院だった・・・。

編集部から

座談会「統合失調症をかかえて生きること」
統合失調症の症状は、生活のどんな場面で「障がい」となるのか?また、「障がい」にどのように対処しているのか?
睡眠、テレビ視聴、街歩き、余暇の過ごし方から、人からの印象、仕事、愛に至るまで生活の具体的な場面を切り取り、統合失調症体験者、精神科医、PSWらが本音で語り合う。

エッセイ「就労支援の現場から」
編集部のスタッフが、職場や日常生活で思ったこと、考えたことをエッセイにして伝えていく。

投稿作品解説

作品名:「Mind Matters」

「Mind Matters」とは、2000年前後からオーストラリアで国家的プロジェクトとして実施されている包括的な「学校精神保健プログラム」のことで、多くの中学・高校で行われています。
その理由は①国民の5人に1人が、生涯において1度は精神疾患を体験すること、②18歳までに若者の24%がうつ病の発症体験をしているなど、早期にメンタルヘルス課題に取り組むことの重要性の認識からです。
マインドマターズでは、①テキストを活用して授業を行い ②学校、地域(行政・医療)、家庭との連携強化に取り組み ③学校精神保健活動を展開するために設備・環境の整備を実践しています。
授業で扱われるテキストは15冊。「学校の問題」「命の教育」「回復力を高める」「いじめとハラスメント」「精神病を理解すること」「喪失と悲しみ」などの内容で構成されています。
マインドマターズの取り組みが、日本でももっと紹介され、日本の精神病を取り囲む状況がもっと好転することを翻訳者は心より願っています。

目 次

第Ⅰ部 連載
新連載:これからの精神科病院 -入院体験者、精神科医が語る未来の形
障がい者雇用の現場から 藍工房の歩みとこれから
福島便り『今日、仮設住宅から』 ~被災地で暮らす人々の「記憶と言葉」~
心の教育・オーストラリアの包括的学校精神保健プログラム『Mind Matters』の紹介
小説:「白百合の君へ」
小説:「壁の向こう側」 第三話
漫画:「風の歌を聴きながら」 第七話
随筆短歌:「食べる」 東瀬戸サダエ
詩:「渚の戯れ」
漫画:「サバイバーズ・ミッション」 第三話
事典:「統合失調症体験事典」
小説:「星の花」 竜人
「ことわざかるた」 最終回
書評:「閉鎖病棟」
第Ⅱ部 投稿
体験記:幻聴に苦しんで
体験記:球根
漫画:暗闇
エッセイ:つくしんぼうと母の物語
エッセイ:ほめる事
エッセイ:あなたは何欲?
エッセイ:脇の下はびっしょり
文集:ぬいぐるみセラピー
短歌八首、詩五篇、歌詞一篇、イラスト六点
第Ⅲ部 編集部から
座談会:「統合失調症をかかえて生きること」
エッセイ:「就労支援の現場から」

巻末資料
心の健康が気になるときに-困ったときの相談先- 精神保健福祉センター一覧