ラジオは君を救ったか? ~ 大震災とコミュニティFM ~
ラジオが命を守った ~ コミュニティFM研究第1弾 ~
東日本大震災の際、地方コミュニティFM局が被災地支援に大活躍しました。 しかし、ラジオは低迷の一途を辿っており、地方コミュニティFM局は厳しい経営を続けています。本書では、そんなコミュニティFM局の現状と経営の課題を探ります。
第18回日本自費出版文化賞入選作品(2015年9月2日)。
四六判(128×188ミリ)
288頁
定価 (本体1800円+税)
ISBN 978-4-8391-0806-9 C0036
2012年6月20日発行
著 者
米村 秀司
1949年生まれ。
1971年同志社大学卒。1971年、KTS鹿児島テレビ放送入社。報道部長、編成業務局長、企画開発局長などを経て現在、鹿児島シティエフエム代表取締役社長。
1999年、ローマ法王ヨハネパウロ2世に特別謁見。
【主な著書等】
「博学紀行・鹿児島県」福武書店(共著)1983年11月
「スペインと日本人」行路社(共著)2003年3月
「消えた学院」ラグーナ出版 2011年7月
「岐路に立つラジオ」ラグーナ出版 2015年5月
「そのときラジオは何を伝えたか」ラグーナ出版 2016年9月
はじめに(本文より)
ラジオの存在が近年これほど注目されたことがあっただろうか?
1953年にテレビ放送が始まって以来、ラジオは低迷の一途を辿った。阪神大震災でラジオの復権が叫ばれたが低迷はそのまま続いた。
2011年3月11日、東日本大震災による大規模な停電で被災地ではラジオが蘇った。
ラジオを通じて被災者に安心を届けるパーソナリティー。一方、避難所で安否情報、生活関連情報、それに元気が出る音楽を必死に聴く被災者たち。全国で被災地にラジオを贈る支援も展開された。ラジオは被災者に「生きる勇気」を与えた。震災後、総務省が被災三県で特別に認可した臨時災害FM局は29局を数えた。
地域に深く寄り添い「情報と音楽」を流し続けたコミュニティFMの被災者支援。コミュニティFMは全国で250局を超え、厳しい経営を続けながら「防災ラジオ」として地域貢献を果たしている。
東日本大震災で注目されたコミュニティFMの現状と経営の課題を探る。
目 次
はじめに
第一章 東日本大震災とコミュニティFM
あの日の記憶 / 放送再開 / コミュニティFMの活躍
新聞各社が震災地の臨時災害FM局を紹介 / 大学も臨時災害FM局を開設
民放連の調査とグーグルの「パーソンファインダー」 / インターネット利用の災害報道
九州のコミュニティFMと地域防災 / ラジオと防災無線が相互補完を
空港都市の連携(霧島市と名取市)
第二章 震災から一カ月、二十四時間チャリティー特番
鹿児島から被災地の局へ激励メール / 震災から一カ月、二十四時間チャリティー特番制作へ
特別番組 二十四時間チャリティー特番「東日本大震災から一カ月 今あなたを支えたい!」抄録
■被災地リポート
・大船渡災害FM
・福島コミュニティ放送(FMぽこ)
・石巻コミュニティ放送(ラジオ石巻)
■安全か? 川内原発
・KTS鹿児島テレビ川内支局 今吉裕幸
・九州電力川内原子力発電所環境広報次長 米丸賢一
・薩摩川内市危機管理官 新屋義文
・鹿児島県原子力防災対策室室長 藤崎 学
・川内原発建設反対連絡協議会 佃 昌樹
■鹿児島市長に聞く
■災害時のマスメディアの役割とは?
・鹿児島純心女子短期大学教授 三島盛武
・南日本新聞社元記者 能勢謙三
・KTS鹿児島テレビ放送報道局長 山口修平
・エフエム鹿児島アナウンス室長 中村 香
・鹿児島シティエフエム番組審議委員 南 徹
・鹿児島シティエフエム専務取締役 米村秀司
■災害後の心のケア
・鹿児島純心女子大学大学院教授 久留一郎
第三章 コミュニティFMの現況
宮崎サンシャインエフエムの支援活動 / 日本コミュニティ放送協会(JCBA)が総会
JCBAとコミュニティFMの経営 / 放送法改正とコミュニティFM / 国土交通省と意見交換
国土交通省九州地方整備局の情報発信システム / 奄美豪雨災害と九州地方整備局
東日本大震災で緊急出動 / JCBA九州地区協議会が東北支援番組制作へ
仙台シティFMラジオ3と特番打ち合わせ / 「3がつ11にちをわすれないためにセンター」の活動
国立国会図書館が記録保存へ / 防災ラジオ特番制作会議
パーソナリティーが見た被災地
・揖宿泰洋(鹿児島シティエフエム)
・立迫なぎさ(FMやつしろ)
・宮田若菜(宮崎サンシャインエフエム)
・田中アイ(FMなかつ)
・高智穂さくら(熊本シティエフエム)
・水野直樹(熊本シティエフエム)
・石田正明(FMしまばら)
第四章 災害報道と鹿児島シティエフエム
華々しい開局 / 次々に特別番組を制作し地域浸透 / 経営改善に着手
イベント事業を推進 / 災害報道と災害広報
第五章 災害時の情報伝達と今後
震災報道シンポジウム / 放送と通信のメディアミックス / ラジコの活用
ライフライン情報の共同発信 / 災害を防ぐラジオコメントの表現
阪神大震災の教訓 / 3・11から何を学ぶか
あとがきにかえて