プロの介護福祉士を目指すあなたに ―介護福祉援助技術を身につけた介護福祉士の専門性と援助法について

プロの介護福祉士を目指すあなたに ―介護福祉援助技術を身につけた介護福祉士の専門性と援助法について

¥2,420

介護の専門性とは何か?本当のプロになるための指南書

世界一の高齢社会である日本にあって、更なる転換期を迎える医療福祉業界だが、介護福祉士という専門家の専門性が確立したとは言い難い状態が続いており、その中で、介護福祉士は理想と現実の間で葛藤しながら必死に介護現場を支えている。

本書では、長年介護現場に携わってきた大学教授である著者が、介護福祉士に求められるコアとなる専門性として、体系化された「介護福祉援助技術」の存在の必要性と、その実践における土台となるケアカウンセリングマインドの重要性を提唱し、豊富な事例を通してケアカウンセリングの実際的活用法を考察する。

混沌とした社会状況の中で、専門性を身につけたプロの介護福祉士を目指す方々の道しるべとなる一冊。

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A5判上製(148×210ミリ)
152頁
定価 (本体2200円+税)
ISBN 978-4-904380-50-5 C3036
2016年8月6日発行

著 者

田中 安平

1949年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学農学部林学科卒業後、特別養護老人ホームにて約20年間、介護職、指導員職、事務長職に従事。 以後、介護福祉士養成施設教務主任、老人保健施設アドバイザー、視覚障害者養護老人ホーム副施設長を経て、2001年、鹿児島国際大学福祉社会学部社会福祉学科准教授として着任(現教授)。
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員。現在、鹿児島県や市の介護給付費審査委員会、高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画策定・管理委員会委員、地域包括支援センター運営協議会委員などを務める。
【主な著作】
共著にて『現代社会福祉概説』(中央法規出版、2004年)、『介護福祉思想の探求(介護の心のあり方を考える)』(ミネルヴァ書房、2006年)、 『介護職員基礎研修テキスト:生活支援の理念と介護における尊厳の理解』(全国社会福祉協議会、2006年)、 単著にて『介護の本質』(インデックス出版、2005年)、『新・介護の本質』(インデックス出版、2009年)などがある。

まえがき(本文より)

1987年に「社会福祉士および介護福祉士法」が成立し、無資格で、誰にでもできると思われ、そのようにいわれ続けていた介護現場に介護福祉士という国家資格を保持した専門家が誕生しました。これで、専門職業として、未来はバラ色になるはずでした。ところが、実際はどうかといいますと、国家資格を所持した介護職員が誕生して20年以上が過ぎたというのに、介護現場はいまだ混迷の中にあります。
要因が、名称独占という資格形態にあるにしても、全労働者の中で特に離職率の高い職場に位置づけられている事実を考慮するとき、何らかの重大な欠点が介護現場の中に隠されているのではないかと疑わざるを得ない状況が続いています。
熟慮のなかで真っ先に思い当たるのが、“介護福祉士という国家資格保持者が、いまだプロの職員として社会に認められていないのではないか”という点です。「介護福祉士と1級ヘルパー、もしくは実務経験10年以上の無資格者との専門性の差異(つまり技量の差異)はどこにあるのか」。これは、専門性に関する論議の中でよく口にされる言葉です。
ところが残念なことに、これまでこれらの疑問に対して、介護福祉士の職能団体や介護福祉士養成施設から明快な回答がなされることはありませんでした。

本論では、このような疑問に対する回答を見出そうと、いまだ自明のようでありながら明確に構造化されていない介護の専門性(「介護」と「介護福祉」の名称の差異等)について、介護福祉援助技術という体系を構築する中で論じるとともに、事例をもとに具体的な援助方法について論じています。
プロの社会では、努力するものとそうでないものの差異は、年棒はもちろん1軍から2軍へと格下げされることをも意味しているのです。これがプロの社会の厳しさです。それは介護福祉士にとっても同じことが言えるのではないでしょうか。しかし、福祉の職員はその厳しさをどれほど理解し、どれほど自分に努力目標を課しているのでしょうか。自己反省する必要があります。国家資格が誕生してすでに20年以上が過ぎているのですから。

本書は、実践の場である介護現場において、介護福祉士という国家資格保持者内の差異はもちろん、国家資格保持者とそうでない人々との援助内容において明確な技能差を生じさせ、介護現場内外においてプロの介護福祉士とそうでない者との力量の違いが明確になることをめざして、筆者の博士論文を編纂し直しました。本書が介護現場で勤務する人々の就業意欲をかきたてる一助になりますことを祈念いたしております。
(略)

目 次

まえがき

序 論 介護現場の混沌の解消に向けて

第1部 介護福祉士に求められるコアである専門性

第1章 定義に見る介護の専門性(家庭的介護と専門的介護)

第2章 介護福祉士に求められる専門性

第3章 介護福祉士と養成課程

第2部 プロの介護福祉士に求められる技能

第4章 介護実践とケアカウンセリング

第5章 事例を通じたケアカウンセリングの展開

第3部 補論:特別養護老人ホームの施設運営の推移 ― 措置から契約へ

第6章 特別養護老人ホームのあるべき姿 ―ケアワーカーの体験から提言する―

あとがき