人生楽しくするもしないも自分次第
創刊以来、福祉の現在を伝えてきた鹿児島国際大学社会福祉学会機関誌『ゆうかり』には、今世紀に入って激動する福祉15年のなかで努力と模索を続ける、教職員、学生、地域福祉の最前線で働く卒業生らの体験や思いが詰まっています。
本書は、その中から福祉教育、資格取得のための勉強法、福祉の仕事の醍醐味と面白さ、今後の課題など特に貴重な証言を厳選し収録。
福祉を志すすべての人へ向けて、大学キャンパスと福祉の現場から生の声を伝えます。
A5判(148×210ミリ)
264頁
定価 (本体1200円+税)
ISBN 978-4-904380-43-7 C0036
2015年8月19日発行
著 者
鹿児島国際大学社会福祉学会
1982年、鹿児島経済大学30周年を記念して創設された社会学部と同時に鹿児島経済大学社会学会として発足。2001年以降、福祉社会学部社会福祉学科に置かれ、学生と教員で運営。学術研究を推進し会員相互の学問的交流を促進するとともに、地域社会の文化的発展に寄与することを目的に活動している。
はじめに(本文より)
「気づき」を言葉に残すことから
学校法人津曲学園理事長・鹿児島国際大学学長 津曲 貞利
鹿児島国際大学社会福祉学会は、前身の鹿児島経済大学社会学会の時代を加えれば30年以上の歴史を有する伝統ある学内学会です。2001年に創刊の『ゆうかり』はその機関誌にあたります。「お堅い研究論文」だけでなく、社会福祉関係の国家資格取得や教員採用試験の合格体験記から、日々の研究・教育活動で感じたこと、先輩たちの動向、さらには学生たちのエッセイ、なかには日常の出来事を思いのまま綴ったものまで載せられています。考えてみれば、自らの周辺で起きた出来事や事象を感じるままに書き綴ることは、「気づき」を言葉に残す作業の始まりであり、ある種の法則や傾向を嗅ぎ取ったときの喜びや興奮は学問への誘いに他なりません。
『ゆうかり』の中から、学生たちのよって選出された読み物を一冊にまとめたのが本著になります。其々が珠玉の読み物であるだけでなく、「気づき」の対象が時代とともに移り変わっていくさまも、楽しみの一つです。
近年、天変地異も含め予想もしない出来事が数々起きて、先の見通しの付きにくい時代になりつつあります。予知することだけでなく備えることが必要、しかも防ぐことより覚悟することに重きを置かなくてはならない時代と言われています。社会の事象を注意深く観察することによって、可能性やチャンス、わくわくするような未来も見えてくるはずです。しかしそれは社会事象という言わば誰にでも均等に降り注ぐものを、自らの意志や知恵、努力によってピンチではなくチャンスに変えようとする人にしか見えてきません。それこそ「人生楽しくするもしないも自分次第」。
観察や事象の調査研究から法則や傾向を導き出して、社会に活かし、其々の人生に活かすことに結び付けたい、常にそれらを追い求めようと努力する教員、学生、そして卒業生の姿が本著には見事に表れています。社会福祉学へのいざないの書として活用していただければ幸甚に存じます。
目 次
はじめに
「気づき」を言葉に残すことから 津曲 貞利
「地域に開かれた存在」であり続ける鹿児島国際大学社会福祉学会 千々岩 弘一
社会福祉学会の創設の歩みから明日を見つめて 田中 安平
1章 鹿児島に社会福祉学科という新しい伝統
社会福祉学科創設の意義と期待 山本 賢治
人生、楽しくするもしないも、自分次第
~仕事と学生生活のプロデュース方法~ 中尾 賢一郎
2章 学生は、よく稼ぎ、よく遊び、よく学ぶ
障害のある生徒との出会い―共生について考える 山本 知佳
そんなのを勉強して仕事につける? 周 静
矛盾した不思議な感覚に魅了されて 松木田 智美
「私」革命―にんじん!デビューする! 上村 まい
事件は試験を受けている最中に起こった!! 吉岡 正浩
警察に連絡しますか―お金の使い道― 松田 香澄
私を追うもの 徳留 まなみ
お墓参りに行きたい! 新地 あゆみ
対話から得られたこと 桑畑 行宏
実習最大のピンチ~傷だらけの戦い 福留 詩織
信号機からのメッセージ 横峯 広美
人と向き合うなかで見えてきた夢と学び 白坂 清香
自身と優しさ、そして笑顔を忘れずに 前田 結華
履修登録教えます… 八瀬尾 眞希
無限の可能性を秘めた皆さんへ!今、働いているものからの一言 新田 博之
オープンキャンパス企画体験記
こころがそだつということ 山下 正子・村田 ゆかり
自主研究助成成果報告
社会福祉用語・人物300選 竹迫 美香・紙屋 奈央
3章 合格体験記―何をどのように取り組んだか
「なんやねんっ」に「なにそれ」で向かうことから 蓑田 彩紀
5回の不合格 有村 貴秀
合格へのキセキ 丸田 香織
見えない者の挑戦 南 明志
受験に対する、恥ずかしいくらいの心の葛藤 仮屋 志織
うれしさ半分、戸惑い半分、そして今 松田 まなみ
社会福祉士国家資格取得に思うこと 中野 裕一
テス!数え切れない苦しいことの中で見つける楽しみ! 橋元 龍司
54歳でも合格するという話 大林 和子
精神保健福祉士・社会福祉士 W合格 「取ったど~!」 浜崎 真理恵
白いキャンパス 安留 綾乃
やるっきゃない―私の福祉への道― 堀田 真紀
頑張ったから今がある 前下 敏秀
4章 社会に出てからも、遊び心を忘れずに…
もっとみんなかわいく、かっこよくできたらいいのにな
―シャンプーガールの詩 冨貴田 知子
『師』を持とう 上村 修
日々『試行錯誤』 清水 直樹
Homeless Hopeless Loneliness 藤原 奈美
現場はきついし、つらいけど、本当に楽しい。 久留須 直也
あなたの知らない、車いすマラソンの世界 坂元 智香
あの日の前も、その後も―泥を見ないで人を見る 長谷部 治
種子島で子どもたちと共に 古田 友也
『社会保障資料集』作成の思い出 野元 由貴
卒業して10年、転職を繰り返して思うこと 脇田 拓郎
5章 『ゆうかり』巻頭言にみる学内学会今昔
学会に寄せて 田畑 洋一
学内社会福祉学会誌『ゆうかり』の創刊に寄せて 上川路 紀久男
社会福祉学会誌『ゆうかり』によせて 田畑 洋一
社会福祉学会の役割 高橋 信行
社会福祉学会に変革のきざし? 野田 隆峰
学生の声が聞こえる『ゆうかり』 蓑田 良助
キャリア形成支援に厚み増す学会誌 堀田 哲一郎
『ゆうかり』第11号発刊によせて 天羽 浩一
『ゆうかり』第12号発刊によせて 中山 慎悟
『ゆうかり』第14号発刊に寄せて 田中 安平
鹿児島国際大学社会福祉学会会則
おわりに
人生をつかずはなれず楽しむために さきはら ひでき