社会的排除と人間の尊厳: マイノリティへのまなざし、共感するということ
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本書では「社会的排除と人間の尊厳」というタイトルでハンセン病問題と児童養護施設に関する記述を中心に掲載した。それぞれの章は直接的に人間の尊厳について論究しているわけではないが、そのことに重なる意味合いが織り込まれている。
--中略--
一般的には何がしかの悪意と、何がしかの善意が「ないまぜ」になって人はこの社会の中で関係性を保ちながら生きていく。この時、人が悪ではなく善を選びとる行為を倫理的と規定できる。そして、その倫理的に生きること、そのことが自己に不利益を及ぼそうとも、そこに価値をおいて生きていくことを選んだときに、人の尊厳が見出される。すなわち、人の尊厳は予め存在しているわけではない。
--中略--
人間の尊厳は先験的にその存在が証明されているのではなく、いわば一方的に恣意的に選択される。功利的に優先的に選択されるのみであって、そこには絶対的価値として証明するものは何もない。人間の尊厳が先験的にではなく、帰納的に存在するということは次のことを示している。人が争いを通してしか生きられない限界を、倫理的に生きるという経験を通して、人としての尊厳を闘いとっていくことである。しかもそのようにして闘いとった尊厳もミクロ的関係の中で証明されるものに過ぎなく、主観的で私的なものにすぎないのである。
本編「序章─人間の尊厳について─」より抜粋。
天羽 浩一 著
A4判・並製本 144頁
ISBN978-4904380192
2012/12/27刊行