統合失調症体験事典
精神医学は、さまざまな現象に専門用語を使い、症状として分類し、治療につなげます。
しかし、これらの専門用語は、体験したことのない者にどれだけ伝わるでしょうか?
本書は、統合失調症をかかえる著者・竜人が、その体験を、精神医学の専門用語ではなく、自らの言葉で定義した事典です。
「シナプスの笑い」で好評連載中の「ノンフィクション精神事典」を加筆、修正し、1冊の本にまとめました。
事典の他に、精神科医による統合失調症についての解説や、著者から”統合失調症を抱えるあなたへ贈る7つのエッセイ”なども収録しています。
四六判(128×188ミリ)
212頁
定価 (本体1200円+税)
ISBN 978-4-9043-8063-5 C0047
2012年9月21日発行
著 者
竜 人 (りゅうと)
1981年、福島県生まれ。アメリカ、鹿児島で育つ。高校卒業後、作家を目指し上京。
2004年、勤務先で統合失調症を発症し帰鹿。精神科病院に入院中、自らの体験をつづった「霊界大戦」を執筆。
医師、 PSWらとともにNPO「精神をつなぐ・ラグーナ」を設立し、雑誌「シナプスの笑い」を刊行。マスコミ各紙で反響を得る。
現在、ラグーナ出版編集部に勤務。著書に『世界はなにかであふれてる』『堕天使の書』がある。
掲載の用語 紹介
アカシジア【akathisia】 じっとしていることができなくなる抗精神病薬の副作用※
薬の副作用で起こるむずむず感のこと。
それは体験者にとっては「自分の皮膚から自分が飛び出す感じ」と表現できる。歩いていないと落ち着かず、夜、眠れなくなって布団の中で左右に転がされ、腕立て伏せを上空に向かってしなければならない。歩きたくないのに歩かされ地獄の裁きを受けているかのような拷問である。
「アカシジアは症状ではなく、薬の副作用」という説明を受けなければ、患者は「こんな症状では社会復帰は駄目かもしれない」と絶望する要因になる。アカシジアが改善されなければ闘病生活はつらい。
注 : ※は、「最新精神医学」(諏訪望、南江堂、1982)の定義。それ以下の文が竜人による定義。
目 次
序にかえて - 統合失調症を抱えて生きるということ (精神科医 森越まや)
1 言葉との戦い
2 竜人との出会いとラグーナ出版
3 統合失調症とは
統合失調症を抱えるあなたへ贈る7つのエッセイ (竜 人)
1 病気になったときにできること
2 回復のステップ
3 目に見えない力
4 あきらめること
5 書くことと生きること
6 働くこと
7 統合失調症を抱えるあなたへ
統合失調症体験事典 (竜 人)
真・霊界大戦 (竜 人)