統合失調症から教わった14のこと
精神疾患によって教職を辞し、現在は「スピーカーズビューロー岡山」の語り部として、精神疾患の理解促進のために尽力する著者。
発症から現在にいたる26年間という時の中で、仕事と家族を失いながらも、心の病と向き合い、社会に参画していく姿を描いたドキュメント。
その時々の記憶と記録を綴り、読まれた方が少しでも精神障害者への理解と関心を持っていただくことを著者は願う。
A5判(148×210ミリ)
80頁
定価 (本体800円+税)
ISBN 978-4-904380-29-1 C0047
2014年3月10日発行
著 者
中山 芳樹
1955年、岡山県に生まれる。1979年、岡山大学教育学部を卒業。以降1994年まで岡山県内の小学校教諭を歴任する。1988年発病。1994年退職。その後、入退院を繰り返し、2014年現在、スピーカーズ・ビューロー岡山会員であり、岡山県精神障がい者団体連合会役員を務める。
刊行によせて
<< 病との壮絶な闘いの記録 >>
元・岡山大学教育学部教授 阪田 尚彦
本書は、約26年にわたる中山秀樹さんの心の病との壮絶な戦いの記録である。
彼は、教員として学校在籍中に心を病む生活を余儀なくされた。彼が苦しみの日々に忍従しながらも、いかに心に対峙し明日への希望を見出したのか、また、その体験を同じ苦しみを持つ人々と分かち合い、いかに社会に伝えてきたかのかがリアルに綴られている。
(中略)
誰の人生にも様々な出会いがある。自分から求めて得た仲間や偶然が運んでくれた様々な人との出会いから、彼は回復と希望の力を得ていった。
(中略)
この書を障害の有無にかかわらず、より多くの人に読んでほしいと願っている。
<< 異常な環境に正常に反応しただけです >>
関西福祉大学社会福祉学部教授 溝端 剛
中山芳樹さんと初めて出会ったのは、2006年11月25日(土)の午後であった。当時、私のゼミでは、赤穂市の中心市街地の活性化をテーマに、駅前の空き店舗を活用した「関西福祉大学まちなか教室」を開催し、障害者の理解を深め、障害者にやさしい商店街をつくることに取り組もうとしていた。その最初の大きな企画が、「スピーカーズ・ビューロー岡山」の皆さんによる講演会であり、その時の講師のお一人が中山芳樹さんであった。
「私は異常な環境に正常に反応しただけです」。この言葉は今も忘れられない。中山さんの語る言葉、そしてその背後にある生き様に深く感動したことを今も鮮明に覚えている。その時から中山さんは私にとって無くては存在となった。
(中略)
数多くの困難に誠実に対峙してこられた中山さんは、その流れの中で砂金のごとく光り輝いています。本書を通じて、その輝きが次々と広く受け継がれ、誰もが暮らしやすい社会の灯火になることを期待しています。
目 次
刊行によせて
第1章 教師の不登校1000日(1988-1991)
第2章 復職、退職、そして入退院(1991-2003)
第3章 退院そして社会参加(2004-2008)
第4章 大切なのは、自分らしく働くこと(2008-2010)
第5章 統合失調症で入院(2010-2011)
第6章 統合失調症から得た十四の知恵(2011-2013)
闘病短歌
中山芳樹さんという人