中井久夫講演録 統合失調症の過去・現在・未来

中井久夫講演録 統合失調症の過去・現在・未来

¥1,980

「スキゾフレニア」の起源を明らかにし、「統合失調症」という言葉に込められた回復の可能性を、中井久夫、患者、現役の医師がともにたどる。
2002年、「精神分裂病」から「統合失調症」に名称変更した。本書は、中井が、患者とその家族、一般市民に向けて、病名の変遷の歴史と、病名に込められた治療のポイントを分かりやすく解説した講演会を収録。「統合失調症」概念に込められた「回復可能性」と治療へのまなざしを中井とともに、患者と医師が体験から語る。

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四六判(128×188ミリ)
180頁
定価 (本体1800円+税)
ISBN 978-4904380925 C3047
2020年3月16日発行

著者・編者

著者

中井 久夫(なかい ひさお)
1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。
精神医療の臨床、研究に携わるばかりでなく、翻訳、エッセイ、また阪神淡路大震災時のメンタルヘルスケアの貢績により、2013年文化功労者に選ばれた。
著書には、岩崎学術出版社(全6巻別巻2、1984~91年)、みすず書房(全11巻、2017~刊行中)、ラグーナ出版(全4巻、2015~2018)から全集が編まれるなど、他多数。

考える患者たち
ラグーナ出版で働く、統合失調症のある患者5名。ラグーナ出版では31名の精神科の患者が働いており、うち16名が統合失調症を抱えている(2020年2月現在)。あい(事務部)、有川(編集部)、エピンビ(編集部)、星礼菜(編集部)、松元(制作部)に所属。

高 宜良(こう ういりゃん)
1965年大阪市生まれ。精神科医。現在、兵庫県精神保健福祉センター参事兼兵庫県立知的障害者更生相談所参事。共著書に「分裂病の精神病理と治療7ー経過と予後」」(星和書店)、「中井久夫共著論文集分裂病・強迫症・精神病院」(星和書店)、「シリーズこころとからだの処方箋11非行―彷徨する若者、生の再構築に向けて」(ゆまに書房)など。

胡桃澤 伸(くるみざわ しん)
1966年、長野県生まれ。精神科医。劇作家として「くるみざわしん」の筆名で関西を中心に上演を続けている。「同郷同年」が日本の劇戯曲賞2016とOMS戯曲賞大賞、「忠臣蔵・破あああエートス/死」が2019年文化庁芸術祭新人賞を受賞。2018年に新宿で初演した「精神病院つばき荘」はその後、静岡、沖縄、京都など各所に招かれ上演が続いている。

編者

森越 まや(もりこし まや)
1960年、東京生まれ鹿児島育ち。精神科医。ラグーナ出版会長、ラグーナ診療所院長、NPOポラーノ・ポラーリ代表理事。精神科医。

はじめに(本文より抜粋)

本書は、統合失調症を深く探究した精神科医中井久夫先生(以下中井)が、患者や家族、一般の方々に向けて行った講演と、その詳細な解説、さらに講演録を読んだ患者の手記と精神科医との対話を収録した。中井の言葉を道標として、患者、医療者がともに考え、〝統合失調症〟の新たな概念をつくりだす試みである

中井が一般の方向けに行った講演の記録は、多くはない。
第一章の講演「統合失調症の過去・現在・未来」(「第一七回こころの健康のつどい」兵庫県尼崎市保健所主催、2003年)は、これまで未発表であった。講演では、前年2002年に行われた病名変更にも触れて、中井の歴史的・治療文化的な壮大な思索が平易な言葉で語られる。その後視点を一人ひとりの日常に移して、症状への対処や日々の過ごし方などやわらかな回復への道が示される。

―中略―

第二章は、講演録を読んだ〝考える患者たち〟が、それぞれの病の体験から回復の経過などを記した。考える患者たちとは中井の命名であり、統合失調症を抱えながら働くラグーナ出版の社員である。
考える患者たちは、中井の言葉を納得しながら吸収し、病に折り合いをつけられるようになったと感じている。
編集会議で「本を通して伝えたいこと」を話し合ったとき、「病気をしたって生きているんだ、患者だって生きているんだ、ということを伝えたい」とあるメンバーが即答した。

第三章では、講演を読んで、考える患者たちが問いを立てた。高と、同じく中井の医局で研修を受けた胡桃澤伸氏(以下胡桃澤)が問いに答えている。
胡桃澤は中井の膨大な著作からひとつ選ぶなら『抵抗的医師とは何か』を選びたい、と書く。一九六〇年代に楡林達夫の名で世に出され、複写版が読み継がれたという。文章は残念なことに今も輝きを失っていない。

―中略―

今ここで、ともにこの時代を生き抜く者として、病を抱えて生きている方々の声に耳を傾けたい。中井がしばしば触れるように、患者たちは語らずとも内面に、人への優しさ、世界への親しみ、人生を味わう感覚、向き合う人の善良さを引き出す力を持っている。そして病の経験は、世に棲む力、はたらく(傍を楽にする)力となって平穏を紡いでいることを、考える患者たちの存在が証してくれている。
もとより治療に一つの正解があるわけはなく、患者、家族、支援者の三者がそれぞれの経験知を持ち寄り、呼吸を合わせて回復の道を進んでいくのだと思う。
本書が、これらすべての方々の心の平和を築く一助となりますよう願っています。
中井久夫先生にはかけがえのない希望と力をいただき心より感謝いたします。
編者 森越まや

目次

第一章 講演 統合失調症の過去・現在・未来 中井久夫
注と解説 高 宜良
第二章 講演を受けて語る 統合失調症の実体験 考える患者たち
病名変更の影響/統合失調症の特徴/回復の阻害要因と対処法/回復を促すもの
第三章 講演の理解を深める 患者と医師の対話
考える患者たち/高 宜良・胡桃澤 伸
謝辞――あとがきにかえて
付録――仕事のみならず、一般に生活再開に当っての助言